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Jul

セミナーレポ:今、知っておきたいウェブアクセシビリティの現状

セミナーレポート

2010年7月23日、NPO法人 ハーモニー・アイ主催の「あとで後悔しないために!- 今、知っておきたいウェブアクセシビリティの現状 -」セミナーに参加してきました。

セミナー内容は

  1. 発表間近といわれる新しいウェブアクセシビリティJIS規格(世界基準 WCAG 2.0に準拠)と、現在のJISとの相違点の確認
  2. 音声読み上げソフト利用のユーザーに実際にWEBサイトを閲覧していただいてWEBサイトの問題点を掘り下げる
  3. 動的なWEBコンテンツのアクセシビリティの動向やCMSの構築の注意すべきこと

などを2時間30分にわたり勉強させていただきました。

"Webアクセシビリティ"って何なの?

という方の為に、簡単に説明させていただきますが、 "Webアクセシビリティ"とは、"年齢や身体的制約、利用環境等に関係なく、様々な人がインターネットホームページのコンテンツや機能を利用できること・利用しやすくすること"と言うことができます。
皆さんがたまに耳にすることがある"ユニバーサルデザイン"、"バリアフリー"などの言葉のWEB版と考えるとわかりやすいかもしれません。

WebアクセシビリティにはJIS X 8341-3などのJIS規格もありますが、全てをJIS規格に対応させるのには非常に多くの時間=予算が必要となりますので、WEBサイトのスタイルや目的・ユーザー層によって"どこまでWEBアクセシビリティを実現するか?"の検討とWEBアクセシビリティの重要性をクライアントと制作者が共有することなどが必要となります。

「視覚障がい者はどのようなサイトを見に行くか?」の質問がセミナー途中で出ましたが、 「健常者と一緒です。自分の趣味や面白いサイトを見に行くので 障がい者だからといって障がい者向けサイトに行くわけではない。」
との回答があり、
では、その視覚障がい者数はどれぐらいだろうか?の質問では、 視覚障がい者数は国の身障者手帳を受けた人だと31万人、そのうち全盲1割
しかし、ロービジョン学会発表では150~180万人で 全盲が18万人ぐらいいるらしく当然こちらの数字を重要視したほうがよいとのことでした。

さらに今の高齢化社会では5人に1人が65歳以上、健常者と呼ばれる人の中でも男性の20人に一人は色覚異常という調査結果があります。

健常者にとってWEBアクセシビリティの重要性には気づきづらい面がありますが、それを必要としているユーザーは意外と多いのです。

適用範囲

適用範囲としまして、今までは上記のような高齢者や障がいのある人をメインに考える傾向がありましたが、最近ではさまざまな閲覧環境(ハード・ソフト・操作機器・モバイル等)への対応性なども重要視されています。

■講演1「改定されてJISへの対応はどうする!」

濱田 英雄 氏 濱田ウェブ・アクセシビリティ研究所
アクセシビリティに関する基準について書かれた 「JIS X8341-3:2004」の主査

まず「JIS X8341-3の「8341」は「やさしい」の語呂合わせから来ています」 という話にビックリしました。

日本工業規格(JIS)の数字って語呂合わせで作られる場合もあるのか!?・・・が一点。

もう一つはWEBアクセシビリティという言葉をデジハリで学んで以来・・・3~4年でしょうか。一度もJIS X8341の8341が語呂合わせだということに気づかなかった自分にオドロキです。

新しい規格、JIS X8341-3:2010登場はいつ
「今年9月末までには出るはず」とのことでした。本当はもっと早い時期にでる予定でしたが難航しているようです。

JIS X8341-3:2010からはA~AAAなどの達成基準が設けられ、AAAはかなり先の技術革新を見据えたものなので、まずはAに対応させ そのうえでAAに対応できる部分を取り入れるようにするとよい。

例えば達成基準AAではテキスト及び画像化された文字のコントラスト比は4.5:1がなければならない。AAAではテキスト幅は日本語で40文字以下、段落中の行送り幅は少なくとも1.5文字分、テキストがサイズを200%まで変更しても崩れないようになど、細かい要素毎に非常に多岐に渡る達成基準項目があります。

まとめとして、新JIS規格は根本的には変わっていないけど難解で、適合宣言をするには、かなりの勉強と努力が必要になるとのことでした。

■講演2「最近のウェブアクセシビリティの動向と CMS での対応について」

持田 徹 氏 アルファサード有限会社
「だれもが使えるウェブコンクール」 にて、「社団法人 日本眼科医会」サイトで 金賞を受賞

JIS X 8341-3:2010の特徴としてアクセシビリティを考える範囲がHTML だけにとどまらない。

  • アクセシビリティのために音声・映像は全てテキスト化・字幕も入れる
  • JavaScriptはWAI-ARIAなど
  • PDFはアクセシブルPDFに
  • 例えばPDFはWORDで見出し、目次を設定、図に代替テキスト、タグ付きPDFを作成、PDF作成時にアクセシビリティのための内容抽出をONになど
  • FLASHはアクセシブルFLASHに
  • 例としてFlashオブジェクトに名前や説明を設定、その他ではキーボード操作への対応、文字サイズ変更への対応などがあります
    IBM のaDesignerではFLASHがどう読み上げられているかチェック可能

JISに具体的な実装法はないためUnderstanding WCAG 2.0(解説書)などを参照するとよいとのことです。

セミナーのまとめ

「アクセシビリティはどこまでやるべきか」の見極めが必要であること、JISに従っても個別のニーズに100%対応はできないこと、JISの規格に従うというのは手段であって、目的にしてはいけないという話に、なるほどと思いました。

JIS規格が難解なのでどうしてもそれをクリアする技術面に目が行きがちですが、しっかりとアクセシビリティが必要なユーザーに目を向けてアクセシビリティ向上につなげていければと思います。

by iseki 2010年7月30日 08:33 トラックバックTrackback (0) コメントComments (0) このエントリーを含むはてなブックマーク
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